消防法の引火性液体とは

化学

消防法の危険物6種類の説明は下記に記述した。
https://fireserviceact.tokyo/fire_service_act_hazmat/

第四類 引火性液体

当ページでは、第四類 引火性液体に焦点をあてる。法令に存在する物質のほか、試験問題例などに出題された物質を追加していく。

危険物の規制に関する政令の別表第三についても記述する。

特殊引火物

特徴

1気圧のもとで、自然に火がつく温度(発火点)が100℃以下のもの、または、引火点が-20℃以下で、しかも沸点が40℃以下のものを指す。

ジエチルエーテル、二硫化炭素、アセトアルデヒド

ジエチルエーテルの示性式 C2H5-O-C2H5
-O- はエーテル結合
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/60-29-7.html

アセトアルデヒド

アセトアルデヒド(acetaldehyde , IUPAC名 ethanal , 示性式 CH3CHO)は、引火点 -39℃、無色刺激臭の液体で、沸点が20.2℃。発がん性あり。水、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノールと自由に混ざり合う。水溶性。アセトアルデヒドの示性式のCHO はホルミル基(アルデヒド基)で、これが存在するものはアルデヒドである。多くのアルデヒドは臭気がある。極性があるため、水に溶ける。また、炭素鎖があるため、有機溶媒にも溶ける。還元性がある。(フェーリング反応、銀鏡反応)

アセトアルデヒドが酸化されると、CHOがCOOHとなり、酢酸(CH3COOH)となる。

第一石油類

特徴

一気圧において引火点が21℃未満のもの

アセトン、ガソリン、ベンゼン、トルエン

アセトン水溶性、無色、はっか臭の水溶性液体。構造式 CH3COCH3。構造式のCO はカルボニル基。最も簡単な構造のケトン。水溶性かつ脂溶性。有機溶媒としてよく用いられる。常温で揮発性。IUPAC名 propan-2-one。除光液に含まれることが多い。

ベンゼン(benzene)は非水溶性液体。C6H6。ベンゼンの分子構造は炭素が120°で接続されて平面上に並んでいて、炭素で正六角形を形成している。ベンジンとは別のものであるが、英語の綴りは異なるものの、英語の発音は同じ。ベンゼンのように炭素6個が平面状に正六角形になって結合している環のことをベンゼン環と呼ぶ。ベンゼン環には、結合に使用していない電子が6個存在し、π結合している。ベンゼン環は、1.5重結合が正六角形を作っているように見える。通常の二重結合よりも安定している。なお、ベンゼン環が何個も連結すると、π電子の数は4n+2となる。このとき、共鳴して安定化する。(ヒュッケル則)

トルエンは非水溶性液体。C6H5-CH3。ベンゼンの6個の水素のうちの1個をメチル基(CH3-)で置き換えたもの。ラッカー塗料(油性塗料)の薄め液(thinner)や洗浄剤として利用されることが多い。

アルコール類

特徴

一分子を構成する炭素の原子の数が一個から三個までの飽和一価アルコール(変性アルコールを含む。)
変性アルコールとは、エタノールにメタノールやイソプロパノール(IPA)を添加し、飲めなくしたもの。

1分子あたりの炭素数名称(IUPAC名)別名IUPAC名(英語)
1メタノールメチルアルコールmethanol
2エタノールエチルアルコールethanol
3プロパン-1-オールn-プロピルアルコールpropan-1-ol
3プロパン-2-オールイソプロピルアルコール、イソプロパノールpropan-2-ol

第二石油類

特徴

一気圧において引火点が21℃以上70℃未満のもの

灯油、軽油、キシレン

キシレン

キシレン(Xylene , IUPAC名 dimethylbenzene)は無色、非水溶性液体である。引火点は25℃~32℃。キシレンは、ベンゼンの6個の水素のうち、2個をメチル基(CH3)で置き換えたもの。(CH3)2C6H4。ベンゼン、トルエンは第一石油類ではあるが、キシレンは第二石油類。キシレンは3つの異性体が存在し、融点、沸点がやや異なる。o-は「オルト」、m-は「メタ」、p-は「パラ」。沸点は水より高く140℃程度である。

名称IUPAC名IUPAC名(英語)融点/℃沸点/℃
o-キシレン1,2-ジメチルベンゼン1,2-Dimethylbenzene-25144
m-キシレン1,3-ジメチルベンゼン1,3-Dimethylbenzene-48139
p-キシレン1,4-ジメチルベンゼン1,4-Dimethylbenzene13138

第三石油類

特徴

一気圧において引火点が70℃以上200℃未満のもの

重油、クレオソート油、グリセリン

注釈

クレオソート油は、石炭の副産物であるコールタールを蒸留して得られる、強い刺激臭を持つ黒褐色の油状液体である。主に木材の強力な防腐・防虫剤として枕木や電柱に使用されるほか、カーボンブラックの原料にもなる。発がん性物質を含むため、家庭用では規制があり、現代では安全性に配慮した製品(クレオソート油Rなど)や水性代替品が主流である。

グリセリン

グリセリン(グリセロール Glycerol , IUPAC名 Propane-1,2,3-triol , 示性式 C3H5(OH)3)は、引火点160℃、吸湿性、無色、無臭、ねばねば(粘稠ねんちゅう性)の水溶性液体である。水とはどのような割合でも混ざり合う。クロロホルムのような無極性溶媒には溶けない。

第四石油類

特徴

一気圧において引火点が200℃以上250℃未満のもの

ギヤー油、シリンダー油

動植物油類

特徴

動物の脂肉等又は植物の種子若しくは果肉から抽出したものであつて、一気圧において引火点が250℃未満のもの

指定数量

消防法第九条の四では、「指定数量」という単語を定義している。指定数量が小さいほど危険な物質であるという解釈で良い。単位はkgまたはL(リットル)。第四類の場合はL。下記に第四類引火性液体の指定数量を示す。

品名性質指定数量 単位 リットル
特殊引火物50
第一石油類非水溶性液体200
第一石油類水溶性液体400
アルコール類400
第二石油類非水溶性液体1000
第二石油類水溶性液体2000
第三石油類非水溶性液体2000
第三石油類水溶性液体4000
第四石油類6000
動植物油類10000

指定数量の倍率

品名が1種類の危険物の指定数量の倍率を求める式は下記のとおり

危険物の貯蔵量 ÷ 指定数量

例:

灯油を4000リットル保管するときの指定数量の倍率は

4000リットル ÷ 1000リットル = 4

灯油(第二石油類で非水溶性液体)の指定数量は 1000リットル

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